武田邦彦氏の「伝わらない科学 7つの原理」

虎ノ門ニュースの4月20日(金)の放送で武田邦彦先生がおっしゃっていた「伝わらない科学 7つの原理」というのが興味深かったのでまとめて書き留めておこうと思いました。

  • 平均と個別(減塩食と血圧)
  • 自分=世界(怪獣の数=温度)
  • 事実無視・恐れ重視(和田教授「科学が社会に負けた」)
  • 原理無視・希望優先(エントロピー・エネルギー)
  • ミネルヴァの梟(経済予測の前提条件)
  • 理科系・文化系(科学は「手法」を言う)
  • 受け売り(北極の氷・ツバルが沈む)

以下、話された内容を私なりに理解して要約したものです。よろしければちゃんとYouTubeを見て下さい。1時間28分頃から20分間くらいです。

1:平均と個別(減塩食と血圧)

平均の値と個別の事象を混同してはいけない。

お塩を摂ると血圧が上がる人が多いけど、そうでない人もいる。お塩を摂ると血圧が上がるというのは、そういう人もいるというだけの話。

2:自分=世界(海獣の数=温度)

自分の間隔をもって世界がどうかというの結論付けてしまうのは誤っている。

「海獣の数が多いから温暖化している」「子供の頃より熱くなっている」は飛躍している。温暖化を調べるなら温度を測るべき。

3:事実無視・恐れ重視(和田教授「科学が社会に負けた」)

人間は心理的に「恐れ」のほうが主体なって、事実には目を塞いでしまう。

ダイオキシンは微毒だけれど、世間はダイオキシンという言葉だけでダイオキシンを怖がってしまっているようになっている。

4:原理無視・希望優先(エントロピー・エネルギー)

先の「事実無視・恐れ重視」と同じく、人間は心理的に希望が主体になって、原理を無視してしまう。(と、おっしゃってなかったけど、そう解釈しました。)

生物は外部のエントロピーを増大させつつ、内部のエントロピーを下げるという原理がある。人間が外に対してエントロピーを下げようとするのは原理に反している。例えばリサイクルは外部のエントロピーを下げようとする行為。それは原理に反する行為なので出来ないけれど、希望が優先して行ってしまっている。

5:ミネルヴァの梟(経済予測の前提条件)

「ミネルヴァの梟は夕暮れに飛び立つ」という話がある。学問は未来を予測できないが、過去のことは言える。前提条件が変わった時には学問は成立しない。経済予測が外れるのは、今年の成立条件は去年と違うから。

6:理科系・文化系(科学は「手法」を言う)

科学というのは「事実を集めて解析するという」という手法を言っているのであって、対象物(振り子とか社会とか)を言っているのではない。学校で手法を教えさえすれば、本来は理科系・文化系の区別は生じない。

フランスでは原子力発電所がワイン畑の上流にあって、セシウム入りの廃液が流れており、その水でワインを作っている。日本人は情緒的になって嫌がるが、フランス人では基準値以下だから大丈夫とする。フランスは理科系・文化系の区別がないから判断が全体的になる。

7:受け売り(北極の氷・ツバルが沈む)

受け売りを自分で調べたよりも自信があるように言ってしまう。聞いた人が、自分で考えなければならない。今は受け売りが多くなってしまっている。

「北極の氷が溶けたら海水が上がる」など海水面が上がるという話は報道機関が豪快についた嘘。その話が一般的に通るのはみんなが受け売りになっているから。

まとめ

武田先生は以上の7つの原理を説明された上で「野蛮より文明が強い」と締め括っていらっしゃいました。野蛮(非科学)より文明(科学の原理原則)を活かして良い日本を作りたいということでした。

以上をうけて感想を足していきます。

一次情報が何かを意識する

「受け売り」は番組内でも盛り上がっていたけど、特に気をつけなければいけないなと最近よく思っているテーマでした。

SNSが普及して、その中に自分の身を置いていると、割と偏った世界(クラスタ)に身を置いてしまっている。それにもかかわらず、それが全世界のように錯覚してしまう。クラスタ内で発信されている情報って実は偏りがちだよね。強い力が働きがちな政治の話題なんて当にそうじゃないかな。(そういう視点で、最近の私は政治に興味があります。)

だから何かしらの情報を得たときは一次情報が何かをきちんと理解すりようにしたほうがいい。するとわれわれが普段の生活で目にしている一次情報ってのはたいてい「○○新聞が△△と報じた」だとか、「○○氏が△△とTweetした」という程度なんだよね。この△△ってのは二次情報なので、そこを誤って鵜呑みにしないようにしたい。とはいえ、全ての一次情報を得られるわけではないので、△△が真理か知りたいのであれば二次情報を多角的に集めるしかないわけだ。

これってたぶん就活生や新卒社員がオリエンテーションでよくやる新聞を読み合わせの内容になるのかな。受けたことないけど。

科学的でなくても生活は成り立っている

武田先生は科学の原理原則を活かした国を作りたいとおっしゃっていたけど、実際はそうじゃない形で、ベストではないにせよ、生活は成り立ってしまっています。そこが今回の話を聞いて総合的に興味深いなと思った点でした。

科学的根拠に基づいた社会はそれはそれで効率的で良くなるのかもしれない。でも、全ての行動が科学に支配されたら、ちょっと生活が物足らなくなる気もしてて。原理を無視してでも希望に基いて動いたほうが楽しくなるような、ほどよいバランスがきっとあると思うんだよね。(これも事実を集めて解析すれば立派な科学なのか。)

この「7つの原理」はおそらく不変だと思うので、ふと思い立ったってこの話を読み返したときに、また違う世界が見えるかもしれない。以上、面白いなーということで書き起こしました。